環境月間特別対談「地方にいるからこそ感じた強い想い」 - CHANGE(チェンジ)

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やまがた自然エネルギーネットワーク代表・三浦秀一×株式会社チェンジ・ザ・ワールド代表・池田友喜 環境月間特別対談 やまがた自然エネルギーネットワーク代表・三浦秀一×株式会社チェンジ・ザ・ワールド代表・池田友喜 環境月間特別対談

スマホで買える太陽光発電所「CHANGE(チェンジ)」を運営する株式会社チェンジ・ザ・ワールド代表池田友喜と、山形で自然エネルギー普及に取り組む人たちの繋がりをつくる「やまがた自然エネルギーネットワーク」代表・東北芸術工科大学教授の三浦秀一氏。

異なる手法で自然エネルギー普及活動をけん引してきた2人が、山形で再生可能エネルギーに取り組む楽しさ、課題、未来について語りました。

三浦先生、本日はありがとうございます。先生とお会いするのは酒田市で行われたエネルギー関連のセミナー以来ですね。

株式会社チェンジ・ザ・ワールド代表取締役 池田 友喜

池田 友喜

株式会社チェンジ・ザ・ワールド代表取締役

昭和52年4月山形県酒田市生まれ。酒田市立第五中学校、山形県立酒田工業高等学校機械科を経て、日本工業大学機械工学科卒業。学生時代は弓道にうちこみ、高校ではインターハイ出場、大学では弓道部副主将を務める。

2000年4月、株式会社コルト・ヴォックス入社。プログラマーとして業務システム開発に3年程従事。2003年1月、ジュピターショップチャンネル株式会社に入社。システムアナリストとして、会社の急成長期に放送前基幹システム構築のチームリーダーを務める。2006年12月、株式会社シェアリングス設立。代表取締役に就任。

2014年2月、株式会社チェンジ・ザ・ワールド設立。山形県酒田市在住、2児の父。

そうですね、じっくりお互いの取り組みについて話すのは初めてですね。どうぞよろしくお願いします。

やまがた自然エネルギーネットワーク代表/東北芸術工科大学教授 三浦 秀一

三浦 秀一

やまがた自然エネルギーネットワーク代表/東北芸術工科大学教授

1963年生。兵庫県出身、山形市在住。高校卒業後は、建築を学びたいと早稲田大学理工学部に進学。1992年3月、同大大学院博士課程を修了。同年4月より、東北芸術工科大学(以下、芸工大)の講師となり山形に移住。

近年は、カーボンニュートラルな地域づくりを目指し、住民や自治体と共に実践活動に取り組んでいる。主な著書として、『コミュニティ・エネルギー、シリーズ地域の再生』(農文協・2013)『木質資源活用 森林の恵みを活かす ~木質バイオマスで中山間地を元気にする~』(農文協・2013)がある。

再生可能エネルギー取り組みのきっかけは3.11

簡単に僕ら株式会社チェンジ・ザ・ワールドの事業についてお話させて頂きます。

僕は山形県の酒田市出身で、高校卒業と同時に上京し、東京のITベンチャー企業で3年、TV通販ベンチャーで4年働きました。2006年にソフトウェアの会社を立ち上げ、2011年の東日本大震災を機に再生可能エネルギー(以下再エネ)に取り組みましたが、これは残念ながら失敗してしまいました。

当時36歳、人生をかけて何かやろうとしたら30年はかかるだろうと考えた結果、2014年に山形にUターン。その時事業として取り組んだのは、東京で失敗した再エネにITを使ってもう一度チャレンジすることでした。

当時の僕は、大きな資金を持った人たちが経済合理性だけで再エネに取り組むことに違和感を感じていました。エネルギー問題は個人に関係する問題です。それなのに資金を理由に個人が参加できないのはおかしい。

みんなからお金を少しずつ集めて、再エネに参加できる仕組みやプラットフォームをITを利用して作ろうと考えました。

ソフトウェアの会社ですが最初は資金が無かったので、法人向けの太陽光発電所を作って販売し、得た利益でIT人材を採用していきました。時間はかかりましたが優秀な人材が集まりました。

僕らの事業は2つ。1つ目は法人向け太陽光発電所の販売。2つ目は個人に向け太陽光発電所を販売する「CHANGE(チェンジ)」というサービスです。

法人向け太陽光発電所の販売は2014年から行っており、千葉などの関東を中心にソーラーシェアリングに特化して行っています。ソーラーシェアリングとは、農地の上に太陽光パネルを設置して、農業を続けながら太陽光発電も一緒に行う手法のことです。

僕たちは農業は初心者だったので、最初は地元の農家さんに手伝ってもらいながらでしたが、現在は実績も100基まで増え、千葉県の睦沢町など自治体と一緒に組んでやれるようになってきました。

ソーラーシェアリングに関しては、実績もノウハウもかなりたまっていると自負しています。

千葉県睦沢町のソーラーシェアリング農場

千葉県睦沢町のソーラーシェアリング農場

自分たちでゼロから作り上げていくのは大変だったんじゃないですか?

難しいところにあえてトライしていきたいという、ややこしいベンチャー企業なんです(笑)

今は農業の現場のスタッフと連動してスマート農業の仕組みを作ろうとしています。再エネと農業、ITのノウハウを合わせて持っているのは国内でも僕らくらいじゃないのかなと。

ソーラーシェアリングしている現場を見てみたいですね。

ぜひ見に来てください。僕らはITを活用して再エネに取り組んでいますが、三浦先生はローカルや人との繋がりを活用して再エネに取り組んでますよね。そもそも三浦先生は兵庫県出身でしたね。山形に来たきっかけや、どういった経緯で「やまがた自然エネルギーネットワーク」が生まれたんでしょうか?

僕は兵庫出身なんですが、1992年に妻と山形にやってきました。当時僕は早稲田大学の博士課程に在籍し「都市計画とエネルギーの関連性」について研究をしていたのですが、 修了後の職として当時出来たばかりの芸工大の講師として採用が決まったことがきっかけでした。

自然豊かな山形では、困ったことに当時僕がやっていた環境問題やエネルギー問題をテーマにした研究がマッチしなくなってしまったんですね。新しい研究テーマとして「地球温暖化問題」を選び、その後テーマを「自然エネルギー」に絞り、15年程前に山形という地域性を考えた上で「バイオマスエネルギー」へとさらに絞りました。

ただ、「再エネ」や「自然エネルギー」をテーマに市民講座を開いても人はなかなか集まらないし、参加者も話を聞いて頷いてはいるけれど、行動にはうつさない。

思考や価値観、行動が大きく変わったのは2011年、3.11の震災が大きな契機でした。原発の事故がきっかけで、自分たちが使っている電気はどうやって作られたのか、原発に依存する怖さをみんなが強く考えるようになりました。山形県は福島県の隣でもありますしね。

当時僕は「自然エネルギー」をテーマに研究をしていたので、勉強会を開こうと思ってFacebookで告知をしたところ、すぐに参加者が集まりました。勉強会やイベントを繰り返していく中で、団体としてちゃんと活動していこうと思うようになり、「やまがた自然エネルギーネットワーク」という組織を整えていきました。

勉強会の中で僕は、「原発はいらない」という話と「山形は山も風も水もたくさんあってそれがエネルギーになる」つまり「お金になる」という話をします。「お金」というキーワードがでると皆さんの目の色が変わりますね(笑)

しかし僕が話す「お金」は「投資家が求めるお金」ではありません。「地域が生きていくために必要なお金」のことです。

再エネを通じて「地域が生きていくために必要なお金」が見えてくることが非常に重要だと僕は考えています。お金という数字が見えることで、「ちょっと再エネやってみようかな」と行動が変わるきっかけになるからです。

やまがた自然エネルギーネットワーク主催、映画「おだやかな革命」上映会におけるトークショー

やまがた自然エネルギーネットワーク主催、映画「おだやかな革命」上映会におけるトークショー

エネルギー問題を自分ごと化させるのは「危機感」「お金」「具体的な行動」

三浦先生はエネルギーという大きな問題を「自分ごと化」させるのがうまい。自分ごと化させるために意識していることは何ですか?

自分ごと化というか、行動するきっかけになるのはリアルな「危機感」を感じたときです。ただ、「危機感」だけを煽っても続かない。そうなると「お金」で示すことは重要ですね。そして「具体的な行動」を起こすこと。

「具体的な行動」というと、再生可能エネルギーの場合、発電所や風車とかハード面になりがちですが、地元の誰が、どんな理由でやっているかというのも「具体的な行動」の一つです。やはり地元の人が動かないと地域は動きません。

三浦先生のおっしゃることは100%同意です。僕は環境問題に対しては再エネを増やすという国や世界規模の目標がある中で、ドライにあらゆる手段をすべきだと考えています。

地域にお金を循環させるという意味で、再エネを利用する方法もあります。地元の人が地元でつくられた電気を使うのはいいと思うし、それを形にするには三浦先生がおっしゃった「具体的な行動」がなくてはいけない。

その反面、東京に住んでいる人たちは地元意識が少なく、再エネや環境問題への関心も低い。そのような人たちに「再エネに投資することは貯金するよりいいんじゃない?」という「お金」をフックに行動してもらおうとしているのが「CHANGE(チェンジ)」というサービスです。行動のきっかけは「お金」だけど、結果的に再エネ活動に参加しているという仕組みですね。

本当は「環境」をもっと押したいんですが、環境意識が高い人はまだまだ少ないので、やっぱり「お金」という流れになってしまいますね。

前より増えてきていると思いますが、「環境に対して行動しなきゃ」と思っている人達は、どちらかというと経済的余裕がある人が多い印象ですよね。

環境意識を持つことで自分のポジショニングが上がったと思えるような人たちだと思うんですけれど、僕らはそうじゃない人たちにもコミットしてもらいたい。コミットする切り口が「お金」だったり「地域」だったりするわけです。

例えば小さい町や村の集落の人たちがみんなでお金を出しあって小型の発電所を作ったとします。そこで生まれる電気は地域の人たちで使ってもいいし、売電して収益を分け合ってもいい。そのような取り組みをする時「CHANGE(チェンジ)」はプラットフォームになれます。

やまがた自然エネルギーネットワーク代表・三浦秀一×株式会社チェンジ・ザ・ワールド代表・池田友喜

応用の利く分野ですよね。僕らはよく「エネルギーの地産地消」と言っていますが、都会の人はどうすればいいのか。都会の人もどんなエネルギーでもいいという時代は終わり、産地が見える野菜のように、エネルギーの産地も見えるようになっていく。地域と都会がお互いリスペクトしあうような環境の中で、エネルギーの仕組みの開発ができるといいですよね。

環境問題へどうやって目を向けさせるか、今後も大きな課題

3.11を機に、原発に代わる自然エネルギーを作らなきゃいけないと山形で市民共同発電所として風車を建てようとしたのですが、スピード感やお金などの問題もあり残念ながら実現できませんでした。僕らの活動のスタートは「きれいなエネルギーを使いたい」だったのですが、みんなでやることの難しさを感じましたね。

普通の市民の立場からすれば、自分が使う電気として再エネが選択できればそれでいいのかもしれませんが、やっぱり都会の人にも地方で作った電気を大切に使ってもらえるような仕組みがあって、地方に興味をもってもらうような関係づくりが再エネを通してできることが理想ですよね。

そうですね。一般の人たちに再エネを使ってもらう以前に、環境問題にどうやって目を向けさせるかというのは今後も大きな課題ですね。

僕らが目指しているのは、お金を集めたり収益化する仕組みを簡素化して、誰もが簡単に参加し、自分ごとになるっていう世界観。これは今まさにCHANGE(チェンジ)でチャレンジしているところです。

実際にプロジェクトを動かしていると一番難しいのがお金の問題なんです。市民からお金を集めたり、銀行から借りるという方法もありますが、想いを持って参加したいと思う人がいれば、ぜひダイレクトに入ってもらいたい。

CHANGE(チェンジ)のサービスの面白いところは、参加のハードルをとことん下げているところで、スマホで簡単に会員登録でき、発電所を好きな分だけ購入できます。みんなでつくって、参加して、価値を分け合う、またつくる、そんなエコサイクルをローカルからITを使いながらつくりたいですよね。

ぜひ山形の庄内でやりたいですよね。庄内には再エネの可能性が色々あります。

例えば、庄内といえば山形でも有数の米どころですが、そこでソーラーシェアリングができないかと大きな可能性を感じています。農業の効率化など問題はあると思いますが、農家さんが再エネに積極的に取り組める仕組みを作れるか、そのチャレンジはぜひやってみたい。

面白いですね。発電所は高額なので農家さんが個人で取り組むのは難しいですが、例えば僕らみたいな事業者が入って、賃料を支払うという形で農家さんと組み、尚且つ農家さんに収益を還元できる仕組みができたら実現可能だと思います。

「やれる」っていう感触ができれば、将来的に広がりそうですね。

僕らとしては、三浦先生が専門とされている「住まいとまちの環境計画」の文脈で、今後山形にエコハウスやソーラーハウスを作りたいと思ってます。今千葉でつくっているところですが、できれば農業ともからめてサイクルを回せるような仕組みにしたい。地域にどのように貢献できるかぜひ三浦先生の研究室と共同研究したいですね。

それはできると思いますよ。共同研究いいですね。この領域はどんどんトライして行かなきゃと思っています。千葉のソーラーハウスも完成したらぜひ見せてください。

もちろんです。今後も一緒に山形から再エネで世界を変えていきましょう。三浦先生、本日はどうもありがとうございました。

こちらこそ、お越しいただきありがとうございました。